北海道大学 研究シーズ集

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Nanotechnology / Materials

銀系化合物を用いる水素の活性化と接触合成反応

高活性水素イオンの生成触媒の開発とCO2メタネーション反応への利用

Gin De Ride(銀-Derived Hydride, GDR)は、当研究室が発見した銀系化合物から生成する高活性水素イオンで、一部を低温燃焼させることで熱を供給し、余剰GDRは例えばCH4合成に利用することで、反応が効率化できる。

研究の内容

 水素の自然発火温度は525℃前後と高く、低温で燃焼させるためには、高活性水素を製造可能な触媒の利用が不可欠である。これまでパラジウムや白金系触媒が用いられているが、供給面や価格面などの不安を抱えている。
 当研究室では、従来の触媒に比べ供給面や価格面で有利な触媒の研究に取り組み、その結果、高活性な水素イオンを生成可能な銀系化合物を発見した。本触媒は、水素を供給すると高い活性を持つ水素イオン“Gin De Ride(銀-Derived Hydride, GDR)”を与えるため、まず低温で水素と酸素を同時供給することにより生成GDRを燃焼させ、次いで発生熱と余剰GDRを利用すれば各種合成反応を効率的に行うことが出来る。
 現在、CO2メタネーション用の触媒との複合化により、低温で反応が進行することを見出している。

  • 図1 GDR*生成触媒のイメージ図
    *GDR, Gin De Ride(銀-Derived Hydride)

  • 図2 GDR生成触媒を混合したニッケルアルミナ触媒の二酸化炭素メタネーション活性の例(上は反応器出口ガス濃度、下は熱電対温度)

社会実装への可能性

  • ・CO2メタネーション反応用触媒
  • ・CO2水素化メタノール合成用触媒
  • ・NH3合成用触媒

産業界や自治体等へのアピールポイント

これまで、発電所・製鉄所・工場および地熱を利用する設備等で利用が困難であった低温排熱(120~200℃)を利用し、GDRを生成・反応させることが出来る。GDRは、低温排熱温度で容易に酸素と反応して燃焼すること、また、CO2メタネーション反応に利用できることを確認している。

関連情報

本研究に関連する知的財産

特願2023-202513 「水素燃焼反応用触媒、それを用いた触媒組成物、およびそれらを用いた水素燃焼方法またはメタンの製造方法、ならびにその触媒組成物の製造方法」
2024/2/15公開