Life Sciences
農水産業のDXを支える中心温度測定用食肉模擬装置
坪内 直人
准教授
Naoto Tsubouchi
博士(工学)
◎共同研究者
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篠原 祐治 博士研究員 Yuji Shinohara博士(工学)
実肉を使用しない食肉中心温度測定用デバイス
食用動物の食肉を対象に、その中心温度を把握するための温度測定装置を開発した。本装置のプローブ周囲には、魚・牛・豚・鶏等の食用動物の食肉を模擬した比熱及び形状を有する材料を配置しており、実際の食肉に近い中心温度変化をリアルタイムで取得できる。
研究の内容
一般的に食肉の貯蔵温度管理は、食材が貯蔵されている貯蔵庫内の温度を計測し、温度管理を行っている。しかし、食肉を高鮮度状態に保つためには、その中心温度を計測し温度管理をすることが重要であるが、現状のサーモグラフィーカメラや温度センサーでは、その表面温度しか測定ができない。
そこで、当研究室では、食用動物の食肉を模擬した比熱及び形状を有するプローブを作製することにより、食肉の中心温度変化を模擬できる装置を開発した。これにより、食肉を傷つけることなく、測定したい食肉の中心温度を取得することが可能となり、その温度変化を基に、理想的な温度管理が可能となる。また、食用動物の鮮度と食べ頃の可視化装置『MIRASAL(見らさる)』と本模擬装置を連携することで、実際の食肉を使用することなく、鮮度評価を行うことが可能となる。
社会実装への可能性
- ・漁業関連用製品(漁港や魚船上の貯蔵庫など)における使用
- ・流通業関連製品(魚箱や食品運搬用保管容器など)における使用
- ・小売業関連製品(低温ショーケースなど)における使用
- ・消費者使用製品(冷蔵庫など)における使用
産業界や自治体等へのアピールポイント
これまで把握することが難しかった、食肉の中心温度を本装置により取得できることから、貯蔵温度を適切に制御した温度管理が可能となる。これにより、貯蔵用冷蔵庫や冷蔵庫の電気代や、保冷車などの燃料費の削減に直結することが、考えられる。『MIRASAL(見らさる)』との連携により、鮮度評価を伴う温度管理が可能となる。